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ディル

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その日もいつもと同じ朝でした。
朝起きてディルに食事の準備をしていると、ゆっくりではあるけれど私の気配を感じてディルが起きてきます。
「ディルちゃん」
と呼ぶと目の見えないディルですが、いつものように声を頼りに食事の場所に来て座りました。
数日前から下痢気味のディルは、ドライフードから缶詰の処方食に変えています。
毎日の習慣のお薬は、フードに入れて置くとそれだけ上手に残してしまうので、缶詰のフードに隠してディルの口に入れて先に食べさせています。
その日もそうして先にお薬を食べました。
そして少ししてディルが床に伏せてしまいました。
「ディルちゃんまだ食べてね」
ドッグフードが残っているので私はディルを抱き起こそうとしました。

ディルの足に力が入りませんでした。
2度ほど何かを吐くように少し大きく息をしてそのまま動かなくなりました。
瞬間的に心臓に手を当てている冷静な自分がいました。

「逝っちゃったの・・ディルちゃん・・」
そう言葉にした途端、涙がディルの顔にポトポト落ちました。

ほんの数分前に私の手からいつもと同じようにお薬とフードを食べていたディル。
あまりに突然にその日は訪れました。

ディルは私の腕の中で眠るように逝きました。
ディルに苦しみはありませんでした。
それはディルに命の期限が付いた時から私が1番願っていたこと。
苦しまないこと、1人で逝ってしまわないこと・・

その日の前日、下痢が少し酷かったのでディルの排泄物を持って動物病院に行ったばかりでした。
検査の結果ストレス性の大腸炎と言われ、3日分のお薬を頂いてきたばかり、血液検査の結果にも特に問題もなく、爪も切ってもらって来ました。
ディルは私に後悔をさせないようにしてくれたのです。
その日の前日病院に行っていなかったら、私は悔いたかもしれません。

ディルは最後まで最高に素晴らしい犬でした。

9歳11か月、10歳には残念ながら届きませんでした。
9月9日の朝でした。

by dillnn | 2009-09-12 22:18 | ディル